1. 質問:中国特許法により保護される特許の種類は?

回答:中国特許法により保護される特許には、発明特許、実用新案特許及び意匠特許の3種類がある。発明とは、製品、方法又はその改善に対して行われる新たな技術方案を指す。実用新案とは、製品の形状、構造又はそれらの組合せに対して行われる、実用に適した新たな技術方案を指す。意匠とは、製品の全体又は一部の形状、模様又はそれらの組合せ並びに色彩と形状、模様の組合せに対して行われる、優れた美観に富み、かつ工業上の応用に適した新たなデザインを指す。

以上から分かるように、特許法により保護される発明創造は、その特定の意味を有し、発明特許と実用新案特許は、技術分野の発明創造のみを保護し、即ち技術方案のみを保護する。そのうち、発明特許は、製品の発明特許と方法の発明特許の2種類に大きく分けられる。

実用新案特許は、方法を保護せず、その保護対象は一般的に製品の発明の一部、即ち一定の形状又は構造を有する製品のみに限られる。

意匠は、製品の外形特徴を保護するものである。このような外形特徴は、製品本体の外形であってもよく、製品の表面模様、色彩、又はそれらの組合せであってもよく、人に美感を与える。工業的な方法で生産、複製できないデザインは、中国特許法によって保護することができない。
 

2. 質問:同一主題の発明創造について、発明特許と実用新案特許の両方を出願することはできるか?

回答:同時に出願できる。同一出願人は同日に同様の発明創造について発明特許と実用新案特許の両方を出願する場合、出願時に同様の発明創造についてすでに他方の特許を出願していることをそれぞれ説明しなければならない。しかし、PCT国際出願について、中国国内段階に移行する際に、発明特許又は実用新案特許のうちの1つのみしか選択して出願することができない。

流れから見れば、一般的には、実用新案出願の場合、半年程度で特許権が付与される。後続の発明出願の審査過程で、その特許請求の範囲が発明特許権を取得できると認められ、かつ、特許権が終了していない実用新案の特許請求の範囲と同じであれば、特許局は、発明特許権を取得するために先に付与された実用新案特許権を放棄するか否かを選択するように出願人に通知する。出願人が実用新案特許権の放棄を声明した場合、発明特許出願に特許権が付与され、出願人が実用新案特許権の放棄を声明しない場合、発明特許出願は、「同様の発明創造に対しては1件の特許権のみを付与する」という特許法の条文に従って拒絶される。

実用新案特許権の放棄を声明した場合、この実用新案特許権の終了は、同一主題の発明特許の授権公告日から発効することに注意されたい。つまり、出願人は、実用新案特許権の放棄声明を提出した後、実用新案特許権が発明特許の授権公告日までにずっと有効であることを保証するために、実用新案特許の年金を適時に納付するように注意すべきである。

 

3. 質問:中国で特許を出願する場合、どの言語を使用しなければならないか?

回答:提出される各種の書類は、中国語を使用しなければならない。そのうち、出願書類における用語に対して、国に統一的に規定された科学技術用語がある場合には、規範用語を採用しなければならない。外国の人名、地名、科学技術用語であって、統一的な中国語訳が無いものについては、その原文を注記しなければならない。出願人が外国語の出願書類のみを用意した場合、期限前に文書を中国語に翻訳する時間を空けるべきである。出願書類の他、提出される各種の証明書及び証明書類が外国語によるものであって、中国特許局は必要と認める場合、指定の期限内に中国語訳文を追加添付するよう当事者に要求することが出来る。

 

4. 質問:中国では、どのような発明創造に特許権を付与することができないか?

回答:(1)法律に違反する発明創造に対しては、特許権を付与することができない

発明創造自体の目的が国の法律に違反している場合、特許権を付与することができない。例えば、賭博用装置、麻薬吸飲用器具、国家貨幣、公式文書、文化財などを偽造する装置はすべて法律に違反している発明創造に該当しており、特許権を付与しない。

発明創造自体の目的が法律に違反していないが、濫用されたため違法となるものは、これに該当しない。例えば、医療用の各種の毒薬や麻酔薬及び娯楽用の駒などに対しては、依然として特許権を付与することができる。

発明創造の製品の生産、販売又は使用だけが国の法律で制限される或いは規制される場合、当該製品自体とその製造方法は、法律に違反した発明創造に該当しない。例えば、国防用の各種の武器の生産、販売及び使用が法律で制限されているが、こうした武器自体とその製造方法は法律に違反した発明創造に該当しない。

法律と行政法規の規定に違反して遺伝資源を獲得又は利用し、そして当該遺伝資源に依存して完成された発明創造に対しては、専利権を付与しない。

(2)社会道徳に違反する発明創造に対しては、特許権を付与することができない

発明創造が客観的に社会道徳に違反している場合、特許権を付与することができない。例えば、暴力、虐殺又は淫猥な図又は写真を伴う意匠などに対しては特許権を付与することができない。

(3)公共利益に反する発明創造に対しては、特許権を付与することができない

公共利益に反するとは、発明創造の実施又は使用により公衆或いは社会に危害をもたらすか、若しくは国と社会の正常な秩序に影響を与えるものを言う。例えば、他人の身体に障害を起こす又は財産の損害を手段とする発明創造(例えば、窃盗者の両眼を失明させることを目的とする窃盗防止装置及びその方法)、発明創造の実施又は使用により、深刻な環境汚染や生態系の破壊をもたらすもの、特許出願の文字或いは図形が、国の重大な政治事件又は宗教信仰に係わっており、公衆の感情又は民族的感情を傷付けるか、若しくは封建迷信を宣伝するものは、特許権を付与することができない。

ただし、濫用によって公共利益妨害の恐れが生じ得るような発明創造、若しくは積極的な効果を生じると共に、ある種の欠点ももつ発明創造、例えば人体に対してある種の副作用を持つ薬品については、「公共利益に反する」ものに該当しない。

(4)科学的発見に対しては、特許権を付与することができない

科学的発見及び科学理論は自然界に対する認識の総括であり、これら認識された物質、現象、過程、特性と法則は客観世界を改造する技術方案と違い、特許法意義上の発明創造ではないため、特許権を付与することができない。

例えば、ハロゲン化銀が光による照射下で感光の特性を持つという発見は特許権を付与することができない。但し当該発見に基づき製造された感光フィルム及び当該感光フィルムの製造方法に特許権を付与することができる。

また、例えば、自然界で今まで知られていなかった、天然形態で存在している物質を見つかったことは、単なる発見に過ぎず、特許権を付与することができない。

(5)知的活動の法則と方法に対しては、特許権を付与することができない

知的活動は、人間の思考活動を指し、情報に対する人間の思考、判断と記憶を指導する法則と方法に過ぎない。技術的手段又は自然法則を使用せず、技術的問題を解決せず、技術的効果も生じないため、特許権を付与することができない。

例えば、組織、生産、商業の実施及び経済などにおける管理方法と制度、交通運転規則、試合の規則、演繹・推理及び計画の方法、図書の分類規則、情報検索方法、カレンダーの編集規則、器具と設備の操作説明、各種の言語の文法、漢字のコーディング方法、数学理論及び換算方法、授業、トレーニング方法、各種のゲーム、娯楽の規則と方法、統計、会計及び記帳方法、楽譜、料理レシピ、体の鍛錬方法、コンピュータープログラムそのものなどに対しては、特許権を付与することができない。

(6)疾病の診断と治療方法に対しては、特許権を付与することができない

疾病の診断と治療方法とは生きている人体又は動物体を直接な実施対象とし、病因や病巣を識別、確定又は除去する過程を言う。医師は診断と治療過程において、各種の方法を自由に選択できなければならない。また、このような方法は直接に生きている人体や動物体を実施対象としており、産業上では利用できないものであり、特許法意義上の発明創造に該当しない。ゆえに、疾病の診断と治療方法に対しては特許権を付与することができない。

但し、疾病の診断と治療方法を実施するための機器や装置、及び疾病の診断と治療方法の中で使われる物質又は材料は特許権が付与できる客体に該当するものである。

(7)動物と植物の品種に対しては、特許権を付与することができない

特許法で言う動物とは、人工合成できず、自然の炭水化物と蛋白質を摂取することでしか生命が維持できない生物を言う。特許法で言う植物とは、光合成により、水、二酸化炭素と無機塩などの無機物で合成される炭水化物、蛋白質を利用して生命を維持し、通常は移動できない生物を言う。動物と植物の品種は特許法以外の他の法律・法規により保護されることができる。例えば、植物品種権は『植物品種権の保護条例』により保護されることができる。

ただし、動物と植物の品種の生産方法に対して特許権を付与することができる。ここで言う生産方法とは生物学上以外の方法を指すものであり、主に生物学上の方法による場合が含まれていない。ある方法が、「主に生物学上の方法」に該当するかどうかは、当該方法における人的技術の介入度によって決まる。もし人的技術の介入が当該方法により達成される目的又は効果に対して、主要な制御上の役割或いは決定的な役割を果たしているなら、当該方法は「主に生物学上の方法」に該当せず、特許権を付与することができる。例えば、輻射飼育法によるミルク生産量の多い乳牛の生産方法や、飼育方法の改善による赤身型豚の生産方法などに対しては、発明特許権を付与することができる。

微生物発明とは各種の細菌、真菌、ウイルスなどの微生物を利用した上で、ある化学物質(例えば抗生物質)を生産するか、或いはある物質を分解するなどの発明を言う。微生物と微生物方法は特許による保護を受けることができる。

(8)原子核変換の方法及び当該方法により得られた物質に対しては、特許権を付与することができない

原子核変換の方法は、国の経済、国防、科学研究の重大な利益に関連しており、機構や個人に独占されるべきではない。ゆえに、特許権を付与することはできない。

原子核変換の方法により得られた物質は、主に加速器、反応炉とその他の核反応装置により生産、製造した各種の放射性同位体を言う。これらの同位元素には、発明特許権を付与することができない。但し、これらの同位元素の用途及び使用される機器、設備に対しては、特許権を付与することができる。

(9)平面印刷物の図案、色彩又は両者の組合せによって作成され主に表示を機能とする意匠に対しては、特許権を付与してはならない

 

5. 質問:中国大陸内で完成した発明を中国大陸外(台湾、香港とマカオを含む)で特許を出願する場合、どのような要求があるか?

回答:如何なる機構又は個人が中国で完成した発明又は実用新案について外国へ特許出願する場合、特許局に事前申告し、秘密保持審査を受けなければならない。出願人が以下の方式で特許局に秘密保持審査の請求を申し立てることができる。(1)事前に特許局に秘密保持審査の請求を申し立て、かつその技術方案について詳しく説明する。
(2)特許局に特許出願を提出し、それと同時に又はその後に秘密保持審査の請求を申し立てる。
(3)特許局にPCT国際出願を提出する。

 

6. 質問:中国で特許を出願するには、どのような書類を提出する必要があるか?

回答:(1)願書:発明、実用新案及び意匠のうちの保護を求める種類を明記し、出願人の氏名/名称、住所、国籍/登録地(出願人が中国の機構又は個人である場合、その組織機構番号又は居民身分証明書番号を提供する必要がある)、発明者の氏名及び第一発明者の国籍(第一発明者が中国籍である場合、更に第一発明者の居民身分証明書番号を提供する必要がある)を明記しなければならない。出願人が優先権を主張する場合、基礎出願の出願日、基礎出願の受理国及び出願番号を明記しなければならない。
(2)明細書、特許請求の範囲及び要約書。
(3)必要に応じて、図面を提出し、要約書の添付図面を指定する必要がある。
(4)代理機構に委任している場合、出願人は署名又は捺印した委任状を提出する必要があり、委任状を公証・認証する必要がない。新規出願の場合、委任状を提出していなかったら、特許局は出願人に規定された期限内に委任状を提出するよう補正通知書を発行する。
(5)優先権を主張する場合、優先権証明書類を提出するか、又はDAS検索を請求しなければならない。発明と実用新案出願の優先権書類の提出期限は、最も早い優先権日から16ヶ月以内であり、意匠出願の優先権書類の提出期限は、出願日から3ヶ月以内である。
(6)当該中国出願の出願人と優先権出願の出願人が一致していない場合、優先権譲渡証明書を提出する必要がある(出願人の不一致が氏名の変更によるものであれば、氏名変更証明書を提出する必要がある)。提出期限は、優先権書類の提出期限と同じである。
(7)中国国内段階に移行したPCT国際出願について、国際公開書類のうちの出願文書の中国語訳文を中国国内段階の出願文書として提出する必要がある。出願人が国際公開文書を基に補正して中国国内段階の出願の審査対象にしようとする場合、PCT条約第19条又は第34条又は第28/41条に従って自発的補正を提出することができる。
 

7. 質問:生物材料に係る発明特許出願について具体的にどのような規定があるか?

回答:特許出願する発明が新しい生物材料に関わり、公衆は当該生物材料を入手することができず、かつ当該生物材料に対する説明が当業者によりその発明を実施可能にするのに十分ではない場合、出願人は、特許出願日(優先権を主張する場合、優先権日を指す)以前又は当日に、当該生物材料のサンプルを国家知識産権局に認可された寄託機関、即ちブダペスト条約において承認された生物材料サンプル国際寄託機関に寄託する。中国に所在する国際寄託機構は、北京に所在する中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター(CGMCC)、武漢に所在する中国典型的培養物寄託センター(CCTCC)、及び広州に所在する広東省微生物菌種寄託センター(GDMCC)を含む。

生物材料サンプルの寄託に関わる特許出願について、出願人は、願書と明細書に当該生物材料の分類名称(ラテン語名称を明記する)、当該生物材料サンプルの寄託機関の名称、住所、寄託日と寄託番号を明記し、かつ寄託機関が発行する寄託証明書と生存証明書を提出しなければならない(証明書が外国語である場合、中国語訳文も提出する必要がある)。出願書類を提出する際に上記した情報を明記していないか、又は関連する証明書を提出していない場合、出願日から4ヶ月以内に補正することができる。

中国国内段階に移行したPCT出願について、出願人は、国際公開準備作業の完了前に国際事務局に寄託事項の説明を提出し、中国国内段階への移行声明において明記し、かつ寄託証明書と生存証明書を提出しなければならない(証明書が外国語である場合、中国語訳文も提出する必要がある)。寄託事項がフォーマット以外の形式で明細書に記載された場合、移行声明の所定の欄に、記載された内容の説明書の訳文における頁番号及び行数を明記しなければならない。寄託事項が「微生物の寄託についての説明」(即ちPCT/RO/134表)又はその他の単独な頁に記載されている場合、当該表又は当該頁は国際公開文書に含まれていなければならなく、国内段階に移行する時に中国語に訳さなければならない。出願人が中国国内段階の出願を提出する際に関連する寄託情報を明記していないか又は関連する証明書を提出していない場合、移行日から4ヶ月以内に補正する必要がある。

 

8. 質問:PCT条約により規定された30ヶ月以内に国内段階に移行する期限が満了した場合、出願人は中国国内段階移行手続を取ることができるか?

回答:できる。出願人が規定された30ヶ月の期間内に中国国内段階移行手続を取っていない場合、2ヶ月の猶予期間がある。つまり、国際出願日(優先権がある場合、最も早い優先権日を指す)から32ヶ月以内に、猶予費を納付し、国内段階移行手続を取ることができる。2ヶ月の猶予期間を利用する場合、30ヶ月の期限が満了する前に声明する必要はない。

 

9. 質問:1つの意匠出願は複数の意匠を含むことができるか?

回答:できる。同一製品に関わる二つ以上の類似意匠、あるいは同一類別でかつセットで販売又は使用される製品に用いられる二つ以上の意匠は、一件の出願として提出することができる。

 

10. 質問:意匠を出願する場合、意匠の簡単な説明を提出しなければならないか?

回答:はい。意匠特許を出願する場合、他の必要な出願書類の他、出願人は更に当該意匠に対する簡単な説明を提出しなければならない。

 

11. 質問:国際意匠出願の手続きは如何であるか?

回答:ハーグ協定の締約国に常居所又は事業所を有する機構や個人は、世界知的財産権組織国際事務局の電子出願プラットフォームであるeHague又は紙書類郵送の形で国際事務局に意匠国際出願を提出することができる。一件の単一の国際出願を提出すれば、77個の締約国(94か国をカバー)で多くて100項の意匠を登録することができる。国際意匠出願書類の言語は英語、フランス語又はスペイン語であってよい。

(1)出願を提出するために必要な書類と費用

意匠国際出願の願書(即ちDM/1フォーム):出願人、出願の資格、国際事務局との通通信手段、締約国の指定、簡単な説明、保護範囲、意匠の数、意匠の名称、創作者、優先権情報、希望される公表の時期、新規性を喪失しない猶予情報、料金計算シート、署名などの情報を含むと同時に、添付書類I~添付書類Vを含んでもよい。そのうち、添付書類Iは、創作者の資格の声明であり(米国を指定する場合、当該声明を提出すべきである)、添付書類IIは、新規性喪失の例外に関する書類であり(中国、日本及び/又は韓国を指定する場合、当該証明書を提出することができる)、添付書類IIIは、意匠が保護される資格を有する旨を判定した関連情報であり(米国を指定する場合、当該書類を提出することができる)、添付書類IVは、個別指定料の免除を請求する中堅・中小企業の認証証明書であり(米国を指定する場合、当該書類を提出することができる)、添付書類Vは、優先権証明書書類である(中国、日本及び/又は韓国を指定する場合、当該証明書を提出することができる)。

工業品意匠の画像又は写真:画像のフォーマットはJPEG又はTIFFとされ、解像度は300dpiであり、寸法は3×3cm~16×16cmであり、1ファイルの最大容量は2MBであり、色はRGB又は灰度であり、かつ1~20ピクセルの縁が残される。

国際事務局に基本費用、公開費用などを含む出願費用(スイスフラン)を納付し、かつ指定された締約国の状況に応じて対応する標準指定費用又は個別指定費用を納付する。

(2)国際登録と公表

出願は提出された後、国際事務局により形式審査が行われる。要件を満たしていない出願について、国際事務局は、規定に適合せず、3ヶ月以内に補正する必要があると出願人に通知する。要件を満たすす出願について、国際事務局は国際登録証明書を発行する。

出願人が即時公表又は希望の公表時期を請求しない限り、国際事務局は、国際登録日から12ヶ月後に『国際意匠公報』において当該国際登録を公表する。

(3)中国国内段階への移行

国際登録が公表された後、中国を指定するハーグ国際登録は自動的に中国国内段階に移行するので、出願人は移行手続を取る必要がない。事件の具体的な状況に応じて、国際公開日から2ヶ月以内に新規性を喪失しない猶予期間の証明書を提出するか、又は分割出願を自発的に提出しなければならない。また、国際公表日から3ヶ月以内に自発的に基礎出願書類の副本を提出し、優先権請求料を納付し、優先権譲渡証明書を提出する必要がある場合もある。

意匠国際出願が中国国内段階に移行された後、中国特許局は、中国特許法と関連する規定の要件に従って審査を行う。審査した結果、特許権付与条件を満たしていないものについて、中国特許局は国際登録の公表日から12ヶ月以内に国際事務局に『拒絶通知』を発行し、拒絶理由が見当たらないものについて、『保護声明』を発行し、国際事務局により上記通知を出願人に送付する。出願人は、『拒絶通知』において指定された期限内に中国特許局に応答書を提出しなければならない。出願人が外国の会社又は個人である場合、代理委任手続を取る必要がある。拒絶理由が見当たらない場合又は拒絶通知において指摘された欠陥を克服した後に特許権が付与されたものに対して、中国特許局は特許権付与の公告を行う。特許権付与の公告日から、当該ハーグ国際登録は中国で発効する。

(4)更新

意匠国際登録は、5年毎に一回更新する必要があり、各締約国の意匠特許保護期限の違いによって、少なくとも二回更新することができる。国際事務局は、一般的に約6ヶ月前に出願人に更新通知を発行する。為替レートの変動による影響を回避できるように、出願人は最も早くても国際登録の有効期限が満了する3ヶ月前から更新料金を納付することができる。

 

12. 質問:中国で新規性の基準は何であるか?

回答:中国特許局は、絶対的な新規性基準を取る。出願日の前に如何なる場所での如何なる公開でも特許出願の新規性を損ねることになる。

 

13. 質問:出願人自身による先行出願は、後続出願の抵触出願となるか?

回答:はい。ある出願の出願日の前に特許局に提出され、かつ出願日の後に公開された如何なる特許出願も、当該出願の抵触出願となり、その新規性に影響を与える可能性がある。

 

14. 質問:出願日の前の公開について、猶予期間は設けられているか?

回答:中国特許法の規定によると、以下の場合に限って新規性を喪失しないための6ヶ月の猶予期間を請求することができる。(1)国で緊急状態又は非常事態が発生した時、公共利益のために始めて開示された場合;(2)中国政府が主催する又は承認した国際展覧会で初めて展示された場合;(3)規定の学術会議、あるいは技術会議上で初めて発表された場合;(4)他人が出願人の許可を得ずに、その内容を漏洩した場合。

 

15. 質問:特許局は、いつ発明特許出願を公開するか?

回答:中国特許局は、発明特許出願を受け付けた後、方式審査を経て、特許法の要件に適合するものと認めた場合、出願日(優先権がある場合、最も早い優先権日を指す)から18ヶ月間満了後に公開を行う。特許局は、出願人の請求に応じて該当の出願を早期に公開することができる。

 

16. 質問:発明特許出願の早期公開を請求する場合、どのようなメリットとデメリットがあるか?

回答:(1)メリット:早期公開を請求する場合、出願日(又は最も早い優先権日)から18ヶ月後に公開することを待つ必要がなく、特許出願の予備審査に合格した後に直ちに公開準備段階に移行する。このようにすれば、実体審査を請求した場合、実体審査手続に早期に移行することもできる。また、発明特許出願が公開された後、出願人は、その発明を実施する組織や個人が適切な料金を支払うように要求することができる。つまり、所謂「一時的保護」を受けることができる。出願を早期に公開することで、出願人は、より早い段階で「一時的保護」を受けることができる。

(2)デメリット:出願内容が余りにも早く開示されると、他人が当該出願を利用し、出願人の利益を損なう可能性がある。また、取り下げられた特許出願について、出願内容が開示されていない場合、当該技術がまだ技術的秘密として出願人に所有されることができ、かつ、今後改めて特許出願を提出することもできる。出願内容が公開された場合、当該技術が公知技術の範疇に入り、出願人が同じ内容について特許保護を受けることができなくなる。

 

17. 質問:どのように発明特許出願の実体審査手続を開始させるか?

回答:発明特許出願は、特許権が付与されるためには、実体審査を受けなければならない。即ち、その新規性、創造性、工業的実用性及び特許法に規定された他の要件に適合するか否かについて審査される。出願日(優先権を主張する場合、最も早い優先権日を指す)から3年以内に、出願人はいつでも実体審査を請求することができる。期限が過ぎた場合、当該出願は取り下げられたものと見なされる。

外国で出願されたことがある発明特許について、出願人は実体審査を請求する時、1つ又は2つの主な国の特許局(例えばヨーロッパ特許局、米国特許商標局又は日本特許庁)においてその出願を審査するためになされた検索報告又は審査結果を提出することができる。

 

18. 質問:出願人は特許出願の審査を早めるように特許局に請求できるか?

回答:できる。要件に適合する発明、実用新案、意匠特許出願について、特許局に優先審査を請求することができる。

また、中国特許局と他の国の特許局の間で締結された特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway、即ちPPH)プロジェクト契約によると、出願人が他のPPH締約国に提出した特許出願の一部/全ての請求項が特許付与の可能性を認められた場合、同一の特許ファミリーに属する中国出願の請求項を、これらの特許付与可能性を認められた請求項に完全に対応するように修正し(ただし、修正は原中国語出願書類に記載の範囲を超えてはならない)、当該中国特許出願の実体審査を早めるように中国特許局に請求することができる。

 

19. 質問:出願人優先審査を請求するための手続は?

回答:(1)適用条件

電子出願方式を採用した特許出願又は特許復審事件は、次に掲げる事由のうちいずれかに該当する場合、優先審査を請求することができる。省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド設備製造、新型エネルギー、新材料、新型エネルギー自動車、スマート製造などの国の重点発展産業に関係する場合;各省級及び設区市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する場合;インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術又は製品の更新速度が速い場合;特許出願人又は復審の請求人が、実施の準備を完了している又はすでに実施している、もしくは他人がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している場合;同じ主題について、初めて中国で特許を出願し、その他の国又は地区に対しても出願を提出する場合における、中国での最初の申請である場合;国の利益又は公共の利益にとって重要な意義があり、優先審査の必要があるその他の場合。

次に掲げる事由のうちいずれかに該当する無効宣告事件は、優先審査を請求することができる。無効宣告事件が関係する特許に権利侵害の紛争が生じ、当事者がすでに、地方知識産権局による処理の請求、人民法院への提訴又は仲裁・調停組織による仲裁・調停の請求を行っている場合;無効宣告事件が関係する特許が、国の利益又は公共の利益に重大な意義をもつ場合。

(2)請求人主体の資格

特許出願人は、特許出願と特許復審事件について優先審査を請求することができ、出願人が複数である場合、出願人全員又は復審請求人全員の同意を経なければならない。

無効宣告請求人又は特許権者は、特許権無効宣告事件の優先審査を請求することができ、特許権者が複数である場合、特許権者全員の同意を経なければならない。事件に関わる特許権侵害紛争を処理、審理する地方知識産権局、人民法院又は仲裁・調停組織も、無効宣告事件について優先審査を請求することができる。

(3)優先審査請求の手続

出願人が特許出願について優先審査を請求する場合、優先審査請求書、先行技術又は既存設計に関する情報資料及び関連する証明書を提出しなければならない。同日出願(即ち同一主題の発明と実用新案特許出願)がある場合、願書において対応する同日出願の出願番号を提供する必要がある。「同じ主題について、初めて中国で特許を出願し、その他の国又は地区に対しても出願を提出する場合における、中国での最初の申請である」場合を除き、優先審査請求書には、国務院の関係部門又は省級知識産権局が推薦意見を記入しなければならない。

当事者が特許復審、無効宣告事件の優先審査を請求する場合は、優先審査請求書及び関連の証明文書を提出しなければならない。を提出しなければならない。実体審査又は方式審査の手続においてすでに優先審査を行った専利復審事件を除き、優先審査請求を除き、優先審査請求書には、国務院の関係部門又は省級知識産権局による推薦意見を記入しなければならない。特許権侵害紛争を処理・審理する地方知識産権局、人民法院、仲裁・調停組織が無効宣告事件について優先審査を請求する場合は、「復審無効手続での優先審査の請求書」及び関連する証明書書類を提出するとともに理由を説明しなければならない。

(4)処理手続

国家知識産権局は特許出願に対して、通常、優先審査請求を受け取った日から3~5の営業日以内に優先審査を行うことに同意するか否かについて出願人に審査意見を発行する。特許復審、無効宣告事件に対して、優先審査請求書を受け取った後、当該請求についてできるだけ早く審査し、優先審査手続に移行するか否かについて請求人に通知書を発行する。

国家知識産権局は、優先審査を行うことに同意した場合、同意の日から、発明特許出願について45日以内に第一回の審査意見通知書を発行し、かつ1年以内に審決し、実用新案及び意匠特許出願について2ヶ月以内に審決し、特許復審事件について7ヶ月以内に審決し、発明及び実用新案の特許権無効宣告事件について5ヶ月以内に審決し、意匠の特許権無効宣告事件について4ヶ月以内に審決する。

優先審査手続に移行した後、出願人の発明特許の審査意見通知書に対する応答期限は、通知書の発送日から2ヶ月とし、実用新案及び意匠の審査意見通知書に対する応答期限は、通知書の発送日から15日とし、特許復審事件と無効宣告事件の通知書に対する応答期限は、普通の事件と同じである。

(5)優先審査の停止

優先審査を行う特許出願に、次に掲げる事由のうちいずれかに該当する場合、国家知識産権局は優先審査の手続を停止し、通常の手続に従い処理するとともに、適時に優先審査請求人に通知することができる。優先審査請求が同意を得た後、出願人が自発的に出願文書に対して修正を申し出た場合;出願人の応答期限が、『優先審査管理弁法』に規定する期限を超えている場合;出願人が虚偽の資料を提出した場合;審査過程において、正常でない特許出願であることが判明した場合。

優先審査を行う特許復審又は無効宣告事件に、次に掲げる事由のうちいずれかに該当する場合、復審と無効審理委員会は優先審査の手続を停止し、通常の手続に従い処理するとともに、適時に優先審査請求人に通知することができる。復審請求人が応答を延期した場合;優先審査請求が同意を得た後に、無効宣告の請求人が証拠及び理由を補充した場合;優先審査請求が同意を得た後に、特許権者が削除以外の方式で請求項の範囲を修正した場合;特許復審又は無効宣告の手続が中止された場合;事件の審理がその他の事件の審査における結論に依存する場合;判断が難しい事件で、かつ復審と無効審理委員会主任の承認を経ている場合。

 

20. 質問:出願人は特許出願に対する審査の遅延を特許局に請求できるか?

回答:出願人は発明及び意匠特許出願に対する審査の遅延を請求することができる。発明特許に対する審査の遅延を請求する場合、出願人が実体審査を請求すると同時に請求しなければならず、実体審査請求の発効日から発効する。意匠に対する審査の遅延を請求する場合、出願人が意匠出願を提出すると同時に請求しなければならない。遅延期限は、審査遅延請求の発効日から1年、2年又は3年である。遅延期限が満了した後、当該出願は順番通りに審査される。

 

21. 質問:公衆は審査中の中国発明特許出願に対して反対意見を提出できるか?

回答:できる。発明特許出願の公開日から特許権付与の公告日までに、誰でも特許法の規定に適合しない特許出願に対して特許局に意見を提出するとともに理由を説明することができる。審査官は、実体審査時にそれを取り入れることはできるが、意見を提出した公衆にその処理結果は通知されない。

 

22. 質問:公衆は特許権が付与された中国特許に無効宣告請求を提出できるか?

回答:できる。特許局が特許権付与を公告した日から、当該特許権の付与が特許法の関連する規定に適合していないと考える如何なる組織や個人も、当該特許権が無効であると宣告するように復審と無効審理委員会に請求することができる。特許権無効の宣告を請求する場合、無効宣告請求書と必要な証拠を提出しなければならない。無効宣告請求書には、提出される全ての証拠と結合して、無効宣告請求の理由を具体的に説明し、各理由の準じた証拠を明記しなければならない。

 

23. 質問:どのような場合に分割出願を提出できるか?

回答:一件の特許出願には一つの総括的な発明概念に属しない二つ以上の発明が含まれる(即ち単一性欠陥が存在する)場合、出願人が自ら又は審査官の審査意見に従って分割出願を提出することができる。

分割出願の提出期限は、以下のいくつかの場合がある。(1)当該特許出願に特許権が付与された場合、分割出願を提出する期限は、特許権を付与する旨の通知書を受領した日から2ヶ月以内である。当該特許出願自体が分割出願である場合、新たな分割出願を提出期限は、当該特許出願の最初の親出願に対して特許権を付与する旨の通知書を受領した日から2ヶ月以内である。ただし、審査官が分割出願を審査する間に単一性欠陥を指摘した場合、当該分割出願に対して更に新たな分割出願を提出する場合の期限は、当該分割出願(当該分割出願の最初の親出願ではなく)に対して特許権を付与する旨の通知書を受領した日から2ヶ月以内である。
(2)当該特許出願が拒絶される場合、出願人が拒絶査定を受領した日から3ヶ月以内に分割出願を提出することができる。また、復審請求を提出した後の復審審査期間中に、又は復審決定に不服で行政訴訟を提起している期間中にも、分割出願を提出することができる。
(3)当該特許出願が取り下げられたとみなされた場合、出願人は取り下げられたとみなされる旨の通知書を受領した日から2ヶ月以内に分割出願を提出することができる。

単一性欠陥が存在する場合のみ分割出願を提出できるわけではなく、実践中に分割出願を利用して、発明に対しより適切な特許請求の範囲を提出する場合が多いことを説明しておきたい。

 

24. 質問:いつ出願書類を補正できるか?

回答:明細書、特許請求の範囲、図面などの出願書類に対する補正は、以下のいくつかの場合がある。
 (1)自発的補正

発明特許の出願人が実体審査請求を提出する時、及び実体審査段階に移行した旨の通知書を受領した日から3ヶ月以内に、自発的補正を提出することができる。

実用新案又は意匠特許の出願人は、出願日から2ヶ月以内に自発的補正を提出することができる。

(2)受動的補正

実体審査段階において、出願人は出願書類に対して自発的補正を行うことができず、審査官が審査意見通知書にて指摘した意見に従って出願書類に存在する欠陥を克服するように補正するしかできない。

(3)復審段階において行われる補正

出願人が復審請求を提出し、又は復審通知書に応答する際に、出願書類を補正することができる。ただし、行われる補正は、単に拒絶査定又は復審通知書にて指摘された欠陥を解消することに限られ、つまり、復審段階において行われる補正は受動的補正に属する。

(4)無効宣告段階において行われる補正

無効宣告請求の審査過程で、発明又は実用新案の特許権者は、その特許請求の範囲を補正することができるが、特許請求の範囲に対する補正は原特許の保護範囲を拡大してはならない。

無効宣告請求の審査過程で、発明又は実用新案特許の特許権者は明細書と図面を補正してはならず、意匠特許の特許権者は画像、写真及び簡単な説明を補正してはならないことに留意されたい。

(5)PCT国際出願が中国国内段階に移行する際の補正

国際段階で明細書、特許請求の範囲又は図面が補正されたPCT出願について、中国国内段階に移行する際に補正された明細書、特許請求の範囲又は図面を基に審査を行うように請求する場合、移行声明において審査の基礎となる文書を明記し、移行日から2ヶ月以内に補正部分の中国語訳文を提出しなければならない。

中国で発明特許権を取得するように請求するPCT出願について、中国国内段階に移行した後に実体審査を提出する時に、及び実体審査段階に移行した旨の通知書を受領した日から3ヶ月以内にも、出願書類に対して自発的補正を行うことができる。中国で実用新案特許権を取得するように請求するPCT出願について、中国国内段階に移行した日から2ヶ月以内に出願書類に対して自発的補正を行うことができる。

出願人は、中国特許局に提出された中国語出願書類に翻訳ミスが存在すると発見した場合、特許権付与を申請する前に訳文のミスに対して訂正を申し出ることができる。

上記した5種類の補正はいずれも最初に中国特許局に提出した原出願書類に記載の範囲を超えてはならないことに留意されたい。

(6)分割出願に対する補正

親出願が発明特許である場合、出願人は分割出願の発明特許出願に対する実体審査を提出する時に、及び実体審査段階に移行した旨の通知書を受領した日から3ヶ月以内に、出願書類に対して自発的補正を行うことができる。親出願が実用新案又は意匠特許出願である場合、出願人は、分割出願の提出日から2ヶ月以内に自発的補正を行うことができる。他の場合に、出願人は受動的補正しか行うことができない。出願人の分割出願に対する如何なる補正も、親出願の原出願書類に記載の範囲を超えてはならないことに留意されたい。

 

25. 質問:出願が特許局により拒絶され、出願人が不服である場合はどうするか?

回答:実体審査後に出願が拒絶された場合、出願人は拒絶査定を受領した日から3ヶ月以内に、国家知識産権局の復審と無効審理委員会に復審を請求することができる。出願人は復審請求書において理由を説明しなければならず、必要に応じて出願書類を補正するか、又は関連する証明書類を添付することができる。

復審請求が復審と無効審理委員会により受理された後、当該復審請求書及びその添付書類は実体審査部門に転送されて前置審査が行われる。前置審査の審査官により拒絶理由が既に克服されたと認められた場合、復審委員会は直接復審決定を下し、原拒絶査定を取り下げる。そうでなければ、復審委員会は合議体を結成して合議審査を行う。合議審査後に拒絶理由が既に克服されたか又は拒絶理由が成り立たないと認められた場合、復審委員会は直接復審決定を下し、原拒絶査定を取り下げる。合議体により拒絶理由が克服されていないと認められた場合、復審通知書を少なくとも一回発行する。出願人が復審通知に応答した後、復審委員会は復審決定を下し、原拒絶査定を維持するか又は取り下げる。

特許出願人が復審決定に対して不服である場合、決定の発送日から3ヶ月以内に人民法院に提訴することができる。

 

26. 質問:特許出願を提出してから特許権が付与されるまでどのくらいかかるか?

回答:現在、特許出願には法定の審査期間が設けられず、各特許出願の実際の状況も同じではないため、特許出願には既定の特許権付与時間がない。通常、発明特許出願は、早期公開又は優先審査が請求されていない限り、提出されてから特許権が付与されるまで平均して3~4年の時間がかかる。実用新案及び意匠特許出願は、一般的に半年程度の時間がかかる。

 

27. 質問:特許局が特許権付与通知書を発行した後の手続は何であるか?

回答:特許局が特許権付与通知書を発行した後、出願人は通知書を受領した日から2ヶ月以内に登録手続を取らなければならない。出願人が期限内に登録手続を取った場合、特許局は特許権を付与し、特許証書を発行して公告する。

 

28. 質問:特許局が特許権付与通知書を発行してから特許権者が特許証書を受領するまでどのくらいかかるか?

回答:特許証書の発行時間は登録手続通知書に記載された料金を納付した時間によるものであり、特許局は通常出願人が登録手続の料金を納付してから1ヶ月程で特許証書を発行する。

 

29. 質問:特許権が付与された特許に対して譲渡手続を行った後、特許局は新たな特許証書を発行するか?

回答:特許局は、特許権の譲渡、発明者の変更などの書誌的事項の変更又は特許証書の紛失などの原因によっては、特許証書を再発行しない。

 

30. 質問:特許証書が紛失された後又は特許が譲渡された後、どのように特許の所有権を証明するか?

回答:特許権者は、特許登録簿の副本を特許局に申請できる。特許登録簿は、特許出願に特許権を付与した後、特許局がその法律状態及び関連事項を記録する書類であり、法的効力を有する。

 

31. 質問:特許権の存続期間は延長できるか?

回答:発明特許権の期限は20年、実用新案特許権の期限は10年、意匠特許権の期限は15年であり、いずれも出願日から計算される。

特許権の存続期間は延長できないが、以下の場合に該当する発明特許は、特許権の存続期間の補償を請求することができる。

(1)出願日から4年満了後、かつ実体審査請求の日から3年満了後に発明特許権が付与された場合、特許権者は特許権の授権公告日から3ヶ月以内に特許局に特許権の存続期間の補償を請求することができるが、出願人に起因する不合理な審査遅延の場合は除外される。

(2)中国で販売承認が得られた新薬関連発明特許について、特許権者は新薬販売承認請求が承認された日から3ヶ月以内に、特許局に特許権の存続期間の補償を請求することができるが、補償期間は5年を超えず、新薬販売承認後の特許権の合計存続期間は14年を超えないものとする。

 

32. 質問:特許権又は特許出願権の譲渡は特許局に登録する必要があるか?

回答:特許出願権又は特許権を譲渡する場合、当事者は譲渡契約を特許局に登録し、特許局により公告しなければならない。特許出願権又は特許権の譲渡は登録日から発効する。

 

33. 質問:特許実施許諾契約書は特許局に提出する必要があるか?

回答:一般的には、特許権者と他人の間で締結された特許実施許諾契約書は、契約書の発効日から3ヶ月以内に特許局に提出しなければならない。

また、特許権者は自主的に如何なる組織や個人によるその特許の実施を許諾することを書面で特許局に声明し、かつ許諾使用料の納付方法と基準を明記した場合、特許局により公告し、開放的許諾を実施する。開放的許諾特許を実施しようとする如何なる組織や個人は、書面で特許権者に通知し、かつ公告された許諾使用料の納付方法と基準に従って許諾使用料を納付すると、特許実施許諾を得ることができる。

 

34. 質問:どのような場合に実用新案と意匠特許の特許権評価報告を提出する必要があるか?

回答:特許権侵害紛争が実用新案特許又は意匠特許に関わる場合、人民法院又は特許業務を管理する部門は、特許局が関連する実用新案又は意匠に対して検索、分析と評価を行った後に作成した特許権評価報告を、特許権侵害紛争を審理・処理する際の証拠として提出するように、特許権者又は利害関係人に要求することができる。特許権者、利害関係人又は特許権侵害者とされる者は自発的に特許権評価報告を提出することもできる。

実用新案、意匠特許について開放的許諾声明を提出する際に、特許権者は特許権評価報告を提供しなければならない。

実用新案又は意匠に特許権を付与する決定を公告した後、特許権者又は利害関係人は特許権評価報告を作成するように特許局に請求することができる。特許局は請求を受け取ってから2ヶ月以内に特許権評価報告を作成しなければならない。同一の実用新案又は意匠の特許権について、特許権評価報告の作成を請求する請求人が複数であっても、特許局は一つの報告のみを作成する。如何なる組織や個人も当該特許権評価報告を閲覧又は複写することができる。

 

35. 質問:特許局に納付された官庁料金は返還できるか?

回答:一般的には、特許局に納付された官庁料金は返還できない。ただし、実体審査段階に移行した発明特許出願について、第一回の審査意見通知書の応答期限が満了する前に(応答書類を提出した場合を除く)自発的に取り下げを申請した場合、出願人は特許出願の実体審査料の50%を返還するように請求することができる。

また、特許費用の過払い、二重払い、納付間違いの場合、当事者は納付日から3年以内に特許局に返還請求を提出することができる。

 

36. 質問:特許年金の納付期限が満了した場合、どうすれば良いか?

回答:特許権者は、年金納付期限の満了日から6ヶ月以内に遅延納付すると同時に滞納金を納付することができ、滞納金の金額は、その年の年金全額の5%で月毎に増加する。

年金納付期限の満了日から6ヶ月過ぎても年金及び滞納金が依然として納付不足である場合、特許局はその後の1ヶ月位に特許権終了通知を発行し、特許権者は終了通知を受領してから2ヶ月以内に特許権回復手続を取り、年金、滞納金、回復費を全額納付することができる。

 

37. 質問:中国メインランドの特許は香港、マカオ、台湾に自動的に拡張できるか?

回答:自動的に拡張できない。出願人は、中国国家知識産権局に提出した発明特許出願に基づき、香港とマカオにそれぞれ拡張出願を提出するとともに関連する手続を取ることができ、香港知識産権署とマカオ政府経済・科技発展局に発明、実用新案(香港短期特許とマカオ実用特許を指す)、意匠特許出願を直接提出することもできる。

出願人が台湾で特許保護を取得しようとする場合、台湾特許局に発明、実用新案、意匠特許出願を直接提出する必要がある。

 

38. 質問:植物の新品種は保護されるか?

回答:はい。植物の新品種は現行の中国特許法によると特許保護を受けることができないが、中国植物新品種保護条例によって保護されることができる。中国植物新品種保護条例は1997年10月1日から発効し、その後2013年、2014年と2回にわたって改正された。植物新品種の保護を出願する植物新品種は以下の条件を満たさなければならない。

(1)品種権を出願できる植物新品種は、国家の植物保護品種リストに挙げられている植物の属又は種でなければならない。植物保護品種リストは審査・承認機関が決定し、公告するものとする。

(2)品種権が付与される植物新品種は新規性が満たさなければならない。新規性とは、品種権を出願する植物新品種の繁殖材が出願日以前には販売されていなかったこと、又は育種者の許諾を得て、中国国内において1年以上にわたって出願品種の繁殖材が販売されていなかったこと、中国国外において蔓植物、森林樹木、果樹及び観賞植物の出願品種の繁殖材は6年以上にわたって、またその他の植物の出願品種の繁殖材は4年以上にわたって販売されていなかったことである。

(3)品種権が付与される植物新品種は区別性が満たさなければならない。区別性とは、品種権を出願する植物新品種が出願を提出する以前に既存の植物品種とは明確的に区別できることである。

(4)品種権が付与される植物新品種は均一性が満たさなければならない。均一性とは、品種権を出願する植物新品種が予想しうる変異を除いて、繁殖後のその関連の特徴又は特性の面で均一であることである。

(5)品種権が付与される植物新品種は安定性が満たさなければならない。安定性とは、品種権を出願する植物新品種が繰り返しの繁殖後又は特定の繁殖サイクルの終了時にも、その関連の特徴又は特性が安定していることである。

(6)品種権が付与される植物新品種は適切な名称を持たなければならず、その名称が同一もしくは類似の植物の属又は種において既存の植物品種の名称と区別できなければならない。

品種権の存続期間は、品種権付与日から、曼植物、森林樹木、果樹及び観賞植物については20年、そのほかの植物については15年である。品種権者は、品種権が付与された年から年金を納付し始め、かつ審査・承認機関の要求に応じて当該品種権が付与された品種の検査用の繁殖材料を提供しなければならない。

中国は『植物の新品種の保護に関する国際条約』の1978年条文を採用し、1999年4月23日に植物新品種保護国際同盟(UPOV)の加盟国となった。現在、当該同盟は78か国の加盟国からなる。

 

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